「長瀬一族の陰謀」特設ページ

はじめに

 長瀬一族。

 リーフの出世作「雫」で初登場し、「まじかる☆アンティーク」まで、リーフ作品に彩りを添えた名バイプレーヤーです。

 そんな彼らに魅せられた我々は、長瀬一族一人一人を掘り下げる作業を開始しました。それが、「長瀬一族の陰謀」シリーズです。

 おかげさまで好評を以て迎えられた本シリーズもいよいよ終盤。物語の舞台は長瀬一族の秘密の源である「長瀬村」と「長瀬本家」に移りつつあります。

 さて、この長瀬村。

 「長瀬一族の陰謀」の中では、これは「和歌山県熊野地方」と記されていますが、これはリーフのオフィシャルな資料には見られません。というよりも、長瀬一族のオフィシャルな出身地は知られていません。この設定は、我々が独自に調査した結果によるものです。

熊野ノナガセ一族

 さて、「長瀬」という名前。「瀬」は川岸くらいの意味でしょうか。「川沿いの割と長い岸」といったところの意味でしょう。このような地形を元にした名前というのは割と誰でも思いつくもののようで、恐らく全国の「長瀬」一族に共通する先祖というのは存在しないものと思われます。

 そんな何処にでも居そうな「長瀬」の中にも、歴史上に名を残している「長瀬」があります。

 南北朝時代に活躍した、「野長瀬一族」がそれです。

 なに?「長瀬」じゃないだろって?いーんです。似たようなもんです。

 時は元弘元年(西暦1331年)。

 執権北条家に支配される鎌倉幕府は、二度の外敵(元寇)のダメージもあり、すでに求心力を失っていました。時の後醍醐天皇は、幕府から実権を奪還すべく二度の内乱計画を立案しますが、どちらも挙兵前に幕府側に察知されてしまいます。その二度目の内乱計画が明るみに出た事件(いわゆる元弘の変)が、この年に起こりました。

 後醍醐天皇の皇子である大塔宮護良親王(おおとうのみやもりながしんのう)は、この計画に連動するため比叡山で僧兵を組織していましたが、変が起こると同時に山を脱出し、南へ……熊野地方へと逃げ込みます。しかし、とうとう追っ手に追いつかれてしまいます。残った手勢はわずかで、とても撃退できそうにありません。

 その時、颯爽と現れた三千の軍勢。その軍勢を率いていた二人の兄弟こそ、この地の豪族・野長瀬一族の六郎盛忠、七郎盛衡でした。

 二人の活躍で護良親王は無事、吉野に帰還。その後も楠木正成、新田義貞らを率いて北朝と戦いました。

 この顛末は「太平記」でも語られています。「続々長瀬一族の陰謀」で長瀬源一郎が「太平記にも出ている」と言っているのは、このことです。

#さすが国語教師…現国だけど(^^;

 その後、野長瀬一族は南朝の忠信として活躍し、熊野地方の近露という土地を治めました。

共通する先祖というのは存在しない

 というのは実は大嘘かもしれません。「長瀬」は清和源氏、特に足利家に連なる氏なんだそうです。あるいは藤原氏の氏族という話も…(まあ両方なんでしょう)なので…ん、足利?じゃあ野長瀬一族と真っ向から対立しますねえ(^^; …てことで、見なかったことに。

ちなみに、googleで長瀬を検索すると、葉っぱ関連かTOKIOしか出てきません。

この計画に連動するため

 結果的にそうなっただけだという人もいます。護良親王というのは116代天台座主で、武芸に秀で、経を読むより僧兵の訓練をしていたという人物らしいんですが、どうもただの趣味だったんじゃないかと…おっと、脱線脱線。

実在する長瀬の里

 さて、野長瀬一族が治めていた土地は、今の和歌山県熊野地方にある近露(ちかつゆ)という地域でした。野長瀬一族は天皇から横矢の姓を賜っていますが、今もこの地域には横矢姓の方が住んでいます。

 この地に、野長瀬一族の墓があります。

 普通の墓地の一角に、他から隔絶された区画があります。木々に囲まれて穏やかな風が吹くその小さな区画には、石造りの壇があります。その上に、大小様々な石塔が立ち並んでいます。この石塔こそ、野長瀬一族の墓なのです。

野長瀬一族の墓
クリックすると拡大します。

 この墓は戦争前後に再発見されたもので、それまでずっと地中に眠っていました。特に損傷が激しい八つの石塔が目に付きますが、これこそ、護良親王を救出した野長瀬たちのものとされています。

 祐介と沙織が訪れた墓はこの墓です。

 近露は熊野古道(中辺路)のほぼ中間に位置する小さな谷間の村です。和歌山市から自動車で二時間ほどで辿り着くことができます。山道を走っていると、電球一つ灯らない長いトンネルが現れます。そこを通り過ぎて坂道を下っていくと、唐突に前方が開け、ずっと下の方に集落が現れます。それが近露です。

 ところで、この地があの長瀬一族の村であることを裏付ける証拠の一つをご説明しましょう。

 和歌山県の地名辞典を開き、長瀬という地名を探します。すると、たしかにここ近露に「長瀬」という村落が存在していたことが分かります。そして、村の近くに流れる川の名前が「栗栖川」だということも書かれています。

 「長瀬」が「栗栖川」の側に住む…妙に符合しませんか?

 この長瀬村は明治の頃まで存続しましたが、その後、幾度かの名称変更を経て、今は和歌山県大塔郡中辺路村の一部となっています。

「長瀬一族の陰謀」

 「長瀬一族の陰謀」は、すべての長瀬一族を掘り下げることを目的として、サークル「ちづるていしょく」が発行している同人二次創作小説です。現在のところ、以下のシリーズ4冊が発刊されています。

  1. 「長瀬一族の陰謀」
  2. 「続長瀬一族の陰謀」
  3. 「続々長瀬一族の陰謀」
  4. 「完結・長瀬一族の陰謀(上)」

#巻数がめちゃくちゃなのはご愛敬(^^;;

「長瀬一族の陰謀」シリーズは同人誌即売会(主にコミケット)でのみ販売しています。興味を持たれた型は、ぜひイベントの際に「ちづるていしょく」ブースへお越し下さい。

「長瀬一族の陰謀」

1999年初版発行

登場長瀬:七瀬彰、長瀬源三郎、長瀬源五郎
その他登場人物:柳川裕也、マルチ

 物語は、WhiteAlbum物語の後。いつしか冬も終わり、物憂げな春を迎えた七瀬彰から始まります。憧れの美咲先輩を巡ってぎくしゃくした親友・冬弥との関係を未だ修復できない彰。そんなある日、いつものように喫茶店エコーズの扉をくぐった彰は、フランク長瀬の姿が見えないことに気づきます。その場には、黒いタキシードの男の影が…。

「続長瀬一族の陰謀」

2000年初版発行

登場長瀬:七瀬彰、長瀬源一郎、長瀬源之介
その他登場人物:柏木梓、高倉宗純

 長瀬源一郎は、ひょんなことから一人の少女と知り合います。この少女、涼香は、かの来栖川財閥の一族の一人であり、失踪した長瀬源五郎の上司・孝弘の娘でもありました。消えた三人の長瀬(フランク・源三郎・源五郎)について語り合う彰、源一郎、孝弘。ちょうどその時、孝弘に連絡が入ります。四人目の失踪者が現れた、と。その人物とは、古美術鑑定士・長瀬源之介でした。

「続々長瀬一族の陰謀」

2000年初版発行

登場長瀬:七瀬彰、長瀬源一郎、長瀬祐介
その他登場人物:新城沙織、来栖川姉妹

 長瀬祐介は、源一郎から呼び出しの手紙を受け取り、沙織とともに出向きます。そんな折り、源一郎の元に、家出娘・涼香が転がり込みます。仕事で忙しい父に代わり、源一郎の中に父親の姿を見る涼香。そんな涼香が、源一郎の苦い過去を思い出させるのでした…。

「完結・長瀬一族の陰謀(上)」

2002年初版発行

登場長瀬:七瀬彰、長瀬祐介、セバスチャン
その他登場人物:新城沙織、来栖川姉妹

 荒廃する終戦間もない東京。路地裏のストリートファイター・ゲンシロウの元に、ゼロと名乗る男が現れます。圧倒的な強さを誇る彼は、自分の主催する格闘大会にゲンシロウをスカウトします。ゲンシロウはゼロに勝利するため、郷里である熊野・長瀬村に向かいますが、そこで待っていたのは…。